「異言」と訳されたグローッサ γλῶσσα の徹底検証8

聖書からのスピリチュアルライフ

いよいよグローッサの一番多く使われている章のIコリント14章を見ていきましょう。この章だけで、ギリシャ語ではグローッサは16回(新改訳3版では「異言」は18回)も出てきます。文脈の前後関係を注意しながら、パウロが伝えようとしている真意をしっかりと把握しましょう。

1  愛を追求しなさい。また、霊的な色々なものを熱心に求めなさい。ことに預言することを。 2 なぜなら、(奇妙な)異言を話す者は、人々に話すのではなく、神に話すからです。というのは、誰も理解できないのに、霊で奇妙な事を話すからです。 3 しかし、預言する者は、人々に向かって、建徳と勧めと慰めのために話します。 4 (奇妙な)異言を話す者は、自分を高めます。しかし、預言する者は、教会(エクレーシア、群れ)を建てあげます。 Iコリント14:1~4 私訳(  )は補足

異言が聖霊の賜物とは言えない理由

2〜4節での異言は、奇妙な怪しい異言と判断し訳してみました。「異言」が3節で、預言と対比されています。そのため、パウロが何を意味して「異言」を取り上げているのかが、非常に判断しやすくなっています。つまり、預言は良いものだけど、ここでの「異言」は良くないものとして使っていることがわかります。

2、4節のグローッサは、外国語ではなく怪しい異言であることは、以下の1〜3の判定から「聖霊の賜物」の定義から外れていることから明白です。

「聖霊の賜物」判定1、この「異言」は、教会ではなく、自分を高めるもの。

「聖霊の賜物」判定2、この「異言」は、ペンテコステの日に起こったような外国語として、人々に福音を伝える理解させるために話したものではない。誰も聞き分けられない、理解できない事を話す。

「聖霊の賜物」判定3、この「異言」を話す者は、本来「人々に話す」べきものを、「神に話すものだと、対象をすり替えている。

したがって、ここでの「異言」は、「聖霊の賜物」の定義から大きく外れています。すなわち、この「異言」は「聖霊の賜物」ではないのです。

不遜にも「神と話す」と「神」を持ち出して、権威付けまでしていたのには驚かされます。しかし、その「神」とは、どんな「神」だったのでしょうか?

異教の神々に話す「異言の祈り」

コリントの教会に、異教の世界から救われて来る者たちがいました。また、かなり影響を受けている者たちが大勢いたのです。その中に、「奇妙な異言」を使って祈っている者がいました。以前の生活を変えることなく、イエス・キリストを接木し、利用するような者たちがいたのです。

救われる前から女神崇拝の祈りの中で使い慣れ親しんでいたお経のようなまじないの言葉」を使って、わけのわからない「祈り」をしていた者たちがいたのです。それは悪霊との交信や、降霊術で使われていたものでした。

教会に混入した異教の「異言の祈り」

本来の「聖霊の賜物である異言」は、伝道の目的で与えられた外国の言語で人々に向かって「話すもの」でした。ところがコリントの教会では、人々ではなく、「神に向かって話す」という「異言の祈り」「異質の異言」が入り込んできたのです。

その「異言」は、ギリシャ神殿 Ἀφροδίτη アフロディーテー女神を崇拝してきた者たちが、教会の中に持ち込んだものでした。生殖と豊穣などを願い、春の女神として崇められていたアフロディーテー女神は、愛と美と正義を司るギリシャ神話の女神です。

その異教の神殿で使われていた「お経のまじないの祝詞のりと」を、そのままコリントの集まりの中で使う者たちがいたのです。あたかも「聖霊の賜物」であるかのように偽装していたため混乱が起こっていました。神への祈りと悪霊への祈りが、混在していたのです。

神と話す偽りの「異言の祈り」

現実に常識で考えても「神との会話」に、自分でもわからない異言で話す必要など、全くありません。「自分でもわからない口パクの異言」で、祈ったとしても、それは会話でも祈りでもはありません。心も知性も伴わない祈りなど聞く価値もありません。また、習得する必要など全くないのです。

「誰も聞いていないのに、霊で話す」とは、「人々を無視している」という意味です。

霊で話す」とは、事実ではありません。心でも知性でもない「霊で話している」という単なる言い逃れです。また、「神に話している」から、人にはわからなくていいのだというのも、嘘の言い逃れをしていたのです。

教会を建てあげない「無益な異言」

3節の文頭の「しかし」とは、2節の「異言」と対比して逆接の文章が続く接続詞です。つまり、異言を話す人は「神に話すとか、誰も聞いていないのに、霊で話す」とか、たわけたことを言っているが、それに比べて預言は、いかに有益であるかという文が続いているのです。

預言する者は、人々に向かって、建徳と勧めと慰めのために話します。」すなわち、預言は、聖霊の賜物です。逆に、「怪しい異言」など、全く無意味だと対比しているのです。「異言で祈る者は、人々を建てあげることなく、勧めもなく、慰めも与えず、異教の神に向かって話している。」と。

神を愛していない「異言の祈り」

心を伴わない祈り、思いを伴わない祈り、知性の伴わない祈りは、どれも神に喜ばれるものではありません。神を愛することからほど遠いのです。申命記で3回繰り返されたご命令を、イエス・キリストは最も重要な律法のエキスとして語られました。

『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』マタイ22:37 『心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』マルコ12:30 『心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くし、知性を尽くして、あなたの神である主を愛せよ』ルカ10:27

神の奥義ではないムステーリオン

2節で奥義(ムステーリオン μυστριον)と訳される単語が使われていますが、それをそのまま「奥義」と訳しては混乱してしまいます。2節で使われたムステーリオンは「 神の奥義 」ではありません。文脈から考えてみたらおかしいとわかるでしょう。

もし、神からの奥義であれば、神から人へ語られるものです。神の奥義を人が神に向かって語ったところで、どんな意味があるのでしょうか⁉︎ この意味は、「これは奥義なんだから、あなたにはわからなくて当然だ。」と「怪しい異言」を使っている者ちが、異言を話せない人たちを見下し、えらぶって誇っている愚かさを、パウロは皮肉って言っているのです。

求める必要のない「異言」

預言することについては、「熱心に求めなさい。」と勧められています。預言することは、「聖霊の賜物」だからです。しかし、2、4節の「異言」に関しては、否定的な言い方のみ続いています。「聖霊の賜物」とは言えない「怪しい異言」だからです。

コリントの教会の中に、「聖霊の賜物」でない「異言」が存在していました。人々を建てあげるのではなく、自己満足の「異言」が存在していたのです。

霊的な高ぶりと愚かさの「異言の祈り」

一般のクリスチャンには話せない言葉を話せるということで、いつの間にか霊的な高ぶりが現れてきました。自分が高慢になる時は、サタンのワナにはまっています。高慢は、聖霊の実ではなく、真逆のサタンの実です。サタンは、自らも高慢によって裁かれました。

人々ではなく、自分を建てているだけだという自己中に、気づかないほどです。リーダーや上に立つ立場の者が、群れを苦しめ、できないことを強要しているとしたら、それは、兄弟姉妹たちを踏みつけることにならないでしょうか?

そんな被害を受け苦しんでいる人たちから、いくつもの声が届いているのは、どうしたことでしょうか? コリントと同じような問題と混乱が一部の教会の中に起こっているのです。

外国語学習の勧め

そこで私はあなたがた全員が、いくつもの外国語を話すことを望んでいますが、それよりも、あなたがたが預言することを望みます。もし、通訳する者がなく、教会(エクレーシア、集まり)を建てあげるのでないなら、外国語を語るよりも、預言をする方がまさっています。 Iコリント14:5 私訳

5節でグローッサは2回使われています(新改訳3版では異言と3回)。パウロがみんなが、話せるようにと望んでいるのは、もちろんわけのわからない異言ではありません。パウロが望むのは、教会の混乱を望んでいませんから、外国語です。しかし、その外国語でも、通訳がないのであれば、教会を建てあげませんので、預言をする方がまさっていると比較しているのです。

外国語も、訳のわからない異言も、通訳なしには黙っているべきものです。(28)

自分の持っているものが、群れを建てあげるために役に立っているのかどうかは、大事な判断基準になります。「御霊の賜物だ」と独りよがりに判断するのではなく、再検討してみる必要があります。自分が賜物を活用することで、果たして何人の人たちが喜んでくださっているのか、益となっているのかと、謙虚に耳を傾け判断することも、とっても大事だと思います。

今日もウェブチャへようこそ

愛を追求しなさい」とありますが、私たちは「愛道」を歩み、愛を追求し続けます。人々が喜んでくださることを求め、人々の益となることを求めます。聖書の「愛」は深く、広く、高く、終わりがないので、私たちは日々、追求し続けることになります。

「愛を追求し続ける」ことが私たちのライフです。「追求せよ」とは、現在形・能動態の命令です。「愛道」を歩み、愛と追求し続けると、生活の中でイエス・キリストに出会うことでしょう。

今日も「愛を追求し続け」良い1日をお過ごしください。

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